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エラトステネスは棒を使って地球をどう測ったのか?
エラトステネスは、エジプトの2つの都市、アレクサンドリアとシエネで正午の影を比べ、地球の円周を250,000スタディアと推定しました (新しいタブで開きます)。影の角度の差を約7.2度、つまり円の50分の1とみなし、報告されていた都市間の距離に50を掛けたのです。
鍵となったのは幾何学でした。エジプトに届く太陽光は平行とみなせる一方、垂直に立てた棒は地球の中心を指します。そのため、アレクサンドリアの影が示す角度は、地球の中心から見た2つの都市の間の角度と一致します。
2つの都市に見られた意外な違い
エラトステネスはヘレニズム時代、2,200年以上前 (新しいタブで開きます)にアレクサンドリアで活動していました。この比較では、地中海沿岸の港町アレクサンドリアと、現在のエジプト南部のアスワン近郊にあったシエネが組み合わされました。エジプトの地理が、計算に長い基線をもたらしました。2つの都市はナイル川沿いに大きく離れ、おおむね南北に位置しています。
よく知られた話では、観測は夏至の日の正午に行われたとされています。シエネでは太陽が深い井戸の真上から照らし、垂直な物体に影ができなかったといいます。同じ時刻、アレクサンドリアでは垂直に立てた棒に影ができました。スミソニアンによるエラトステネスの測定の解説 (新しいタブで開きます)では、この違いと計算に用いた角度が説明されています。
この話は、エラトステネス自身が残した記録 (新しいタブで開きます)ではなく、後世の著述家クレオメデスを通じて伝わっています。そのため、実験ノートではなく、後世に伝えられた証言です。それでも、この報告は考え方を明快に示しています。ある場所での影から、遠く離れた場所どうしで地面の向きがどれほど変わるかがわかるのです。
影から地球の中心角を知る
垂直な棒とその影の長さから直角三角形の辺の比がわかり、太陽光の傾きが残りの線を与えます。この三角形から、棒と太陽光のなす角を推定できます。棒をエジプトの端から端まで伸ばす必要はありません。アレクサンドリアで、その場所の垂直方向を示すのが棒の役割でした。
シエネでは、太陽が真上にあったという報告から、太陽光はその場所の垂直方向に沿っていたことになります。アレクサンドリアでは、垂直な棒と太陽光が、影からわかる角度だけずれていました。エジプト全域に届く太陽光はほぼ平行なので、2つの都市での垂直方向の違いは、地球の中心から見たそれぞれの方向のなす角 (新しいタブで開きます)と一致します。つまり、棒の影が示すのは、その場所での角度であり、それが地球の曲面の一部分に対応するのです。
観測時刻も重要です。地方時の正午とは、太陽がその場所の南北の子午線を通過する時刻です。そのため、影は都市間のルートに関係する方向の角度を示します。夏至の観測が重要なのは、そのときシエネで太陽が真上にあったと伝えられているからです。この基準がなければ、シエネでの太陽の角度も計算に含める必要があります。
円一周は360度です。報告された7.2度の角度は、一周の50分の1にあたります。シエネとアレクサンドリアの間の道のりが地球の曲面の50分の1にあたるなら、その長さに50を掛けて円周を推定できます。スミソニアンの解説では、この「一周の50分の1」を使った計算方法が説明されています。
都市間の距離を拡大する
もう1つの要素は、シエネからアレクサンドリアまでの距離として伝えられている5,000スタディアです。5,000スタディアに50を掛けると、地球の円周は250,000スタディアとなります。カーネギー研究所の解説 (新しいタブで開きます)では、エラトステネスが測定した距離と影の角度をどう組み合わせたかが説明されています。地球全体をたどろうとしたのではなく、この掛け算によって距離を拡大したのです。
現代の概算に直すと、都市間の距離は約800 kmです。計算自体にはスタディアと倍率が使われていますが、この数値から基線の長さをイメージできます。グリーンランドの東西方向の最大幅は1,050 km(652 mi)、ビクトリア湖の最大幅は240 km(149 mi)です。エジプトの都市間の距離は、これらのよく知られた幅の中間にあたります。
スタディオンの長さで答えが変わる
計算結果は、古代の単位であるスタディアで表されますが、その長さは地域によって一定ではありませんでした。エラトステネスがどのスタディオンを使ったかを、歴史家が確実に特定することはできません。長めに見積もると、1スタディオンは約157.5 m (新しいタブで開きます)でした。この長さなら、250,000スタディアは約39,375 kmに換算されます。
地球の円周はおよそ40,000 km (新しいタブで開きます)なので、この換算ではエラトステネスの推定値は数パーセントの誤差に収まります。しかし、近い値になるかどうかは、どのスタディオンを選ぶかによります。スタディアの数を同じにしたまま、より短い単位を選べばキロメートルでの推定値は小さくなり、より長い単位なら大きくなります。影から角度を求める幾何学は明快でも、現代の単位への換算には不確かさが残ります。
推定値についてのユニオン大学の解説 (新しいタブで開きます)では、スタディオンの長さについての複数の説が、結果にどう影響するかが説明されています。現代の測定でも、単位を明記し、両端の位置をはっきり定める必要があります。これは、大きさの測定方法が定義される仕組みの基本です。
推定からわかること、わからないこと
伝えられている幾何学の説明では、アレクサンドリアとシエネの間の道のりが南北方向の弧に沿うと仮定しています。しかし、2つの都市は完全な南北線上にはありません。アレクサンドリアはシエネの真北ではなく、実際には経度で数度西にあります。そのため、移動距離は子午線に沿った距離 (新しいタブで開きます)と正確には一致しません。スタディオンの長さが不確かなことも含め、こうした点が古代の推定値を現代の円周と精密に比較する際の限界となります。
それでも、報告された数値から、この方法の本質が見て取れます。約7.2度の影の角度は一周の50分の1を示し、5,000スタディアの道のりに50を掛けると、円周は250,000スタディアとなりました。棒はアレクサンドリアに立ったまま、その角度によって、測定したエジプトの一部分を地球全体の曲面に見立てることができたのです。
関連するサイズ
この記事に登場するものと、そのサイズ。
出典
- National Museum of American History, Smithsonian Institution: Painting - Measurement of the Earth (Eratosthenes) (新しいタブで開きます) americanhistory.si.edu
- Carnegie Institution for Science: Eratosthenes (新しいタブで開きます) cosmology.carnegiescience.edu
- Union University: How did mankind first determine the size of the Earth, and what are the known values today? (新しいタブで開きます) uu.edu
- Encyclopaedia Britannica — Greenland; National Geographic — Greenland
- Encyclopaedia Britannica — Lake Victoria; World Lake Database — Lake Victoria
- MacTutor History of Mathematics, University of St Andrews: Eratosthenes of Cyrene (新しいタブで開きます) mathshistory.st-andrews.ac.uk
- American Physical Society: This Month in Physics History — Eratosthenes Measures the Earth (新しいタブで開きます) aps.org
- Ancient Ports – Antiques: Ancient Units of Measurement (Egyptian stadium) (新しいタブで開きます) ancientportsantiques.com
- Ohio State University Department of Astronomy: Aristarchus and Eratosthenes (lecture notes) (新しいタブで開きます) astronomy.ohio-state.edu
- American Educator (American Federation of Teachers): Joy Hakim, “How Did Eratosthenes Come So Close?” (Fall 2004) (新しいタブで開きます) aft.org
